新築でも中古でも、住宅の購入は大きな買い物です。そのため、少しでも税金の負担を軽くしたいと思いますよね。
税制には、中古住宅の購入に役に立つ、さまざまな税制優遇があることをご存じでしょうか?
そこで今回は、中古住宅購入に役に立つ、代表的な4つの税制についてご紹介します。
住宅ローン減税
住宅ローン減税とは、新築・中古住宅の購入、もしくはリフォーム工事をした場合に、入居した年から10年間、所得税の控除が受けられる制度です。
消費税増税延期を受け、適用期間が2年半延長したため、現状は2021年12月末までの入居者が対象となります。住宅ローン減税は、毎年の住宅ローンの、残高の1%が10年間、所得税から控除されます。
最大控除額は、個人間売買の場合は10年間で合計200万円、売主が宅建事業者の物件の場合は、最大400万円まで控除されます。また所得税で控除できない部分は、一部住民税の控除でカバーできます。
住宅ローン減税の条件
住宅ローン減税の制度を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、住宅ローン減税の制度を受けるために必要な条件についてご紹介します。
■購入に関する条件
・購入後6カ月以内に入居する
・ローンの返済期間が10年以上ある
・所得の合計金額が3,000万円以下
・居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、他の課税特例を受けていない
・親族からの購入ではなく、贈与財産でない
■物件に関する条件
・床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること
・20年(耐火建築物は25年)以内に建築された物件、もしくはそれらの期間を過ぎていても「耐震性を証明する書類」が提出できる物件
築年の古い物件でも利用できる可能性あり
前述の物件に関する条件の通り、通常この減税は、例えば木造の戸建住宅では築20年を過ぎてしまうと利用することができません。ただし後半にあります通り、こういった古い物件でも「耐震性を証明する書類」というものが用意できれば、減税を受けることができるのです。
耐震性を証明する書類とは以下のような書類を指します。
- 耐震基準適合証明書
- 住宅性能評価書(耐震等級が1.2又は3)
- 既存住宅売買瑕疵担保責任保険付保証明書
これらのうち、①や②については、入手するために住宅に耐震補強工事などを施す必要があるケースが多いのです。対して③の付保証明書とは、既存住宅売買瑕疵保険という制度を利用した際に発行される証明書なのですが、これは住宅の劣化箇所を補修するだけで検査に適合となるケースも多く、比較的入手しやすい書類といえます。
また瑕疵保険はつけていれば、購入後に雨漏りなどの欠陥があった際にも保険で補償されるので、中古住宅購入の不安をなくす働きもあります。築年数が古い物件でも、ローン減税を使えるチャンスがありますので、ぜひ試してみてください。なお、耐震性の証明書類は原則として、住宅の引渡し前に発行された書類でないといけませんので、ご注意ください。
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例
父母、祖父母などから住宅資金を贈与された場合に、非課税措置が受けられる制度です。
対象住宅は「質の高い住宅」と「一般住宅」とに分けられ、省エネや耐震、バリアフリーに配慮した「質の高い住宅」を取得した場合、一般住宅より非課税の恩恵を多く受けることができます。また、契約する年によって限度額が違う点に注意しましょう。
住宅取得等資金贈与に対する非課税の条件
住宅取得等資金贈与に対する非課税措置を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、住宅取得等資金贈与に対する非課税措置を受けるために必要な条件についてご紹介します。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し入居する
・贈与者の子や孫(直系卑属)で、20歳以上である
・所得の合計金額が2,000万円以下
登録免許税の軽減
住宅取得をして、必要な移転登記、または抵当権の設定登記をする際に登録免許税がかかります。一定の条件を満たす場合に、中古住宅取得者でも登録免許税の軽減措置が受けられるのです。
なお、移転登記の軽減税率は0.3%、抵当権の設定登記は0.1%となります。
登録免許税軽減の条件
登録免許税の軽減措置を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、登録免許税の軽減措置を受けるために必要な条件についてご紹介します。
・購入後1年経過していない
・自分が居住するための住宅である
・登記簿上の床面積が50㎡以上
・耐震基準を満たしている
・住宅専用家屋または住宅部分の床面積が9割以上
不動産取得税の軽減
不動産取得税は土地や住宅の購入、また贈与などにより不動産を取得した方にかかる税金です。不動産取得税は住宅の固定資産評価額の3%となります。
※2017年10月時点。一定の条件を満たす場合に、特例措置によりこの額が軽減されます。
不動産取得税軽減の条件
不動産取得税の軽減措置を受けるためには、一定の条件を満たす必要があります。
ここでは、不動産取得税の軽減措置を受けるための主な条件についてご紹介します。
・自分が居住するための住宅である
・床面積が50㎡以上240㎡以下
・1982年以降に建築された、もしくは耐震基準を満たしている
中古住宅で受けられる控除額
中古住宅の場合、建てられた時期によって軽減税額が異なります。築年数の浅い中古物件であるほど、軽減幅も大きくなるのが特徴です。
1997年4月以降に建てられた比較的新しい物件は、36万円の減税が受けられますが、築年数が大きくなるにつれて減税額は小さくなる計算となります。
おわりに
今回は、中古住宅を購入する際に利用できる、税制上の優遇制度についてご紹介しました。
住宅購入の際は、住宅そのものの金額だけでなく、ローンの借入費や、税金、仲介手数料などさまざまな諸費用がかかります。税制優遇制度を利用することにより、住宅購入にかかる負担を少しでも軽くすることができます。
税制優遇制度をしっかり把握して、中古住宅の購入に役立てましょう。