住宅を建てる前の地盤調査では、建物の荷重にどれくらい耐えられるかをしっかり調べておきたいものです。地盤の強さ(支持力)は地盤調査により評価が可能となります。
そこで今回は、地盤調査の結果を表すN値や換算N値、そして建物との関係性についてご紹介します。
「N値」とは?「換算N値」との違いは?
N値とは?
N値とは、土の締まり具合や強度を求める基準となる数値です。標準貫入試験によって求められるため、標準貫入試験値とも呼びます。
標準貫入試験とは、測定用の鉄棒器具の先端に取り付けた63.5kgのおもりを、76cmの高さから自由落下させる試験です。土中のサンプラーを30cm貫入させるまでに要した打撃の回数が、「N値」となります。一般的にはボーリング調査とも呼ばれています。
この数値が高ければ高いほど、土に締まりがあって重い建物に耐えられる地盤であることを意味します。
換算N値とは?
換算N値とは、簡易な地盤調査の手法として定着しているスクリューウエイト貫入試験の結果から求められる数値です。土質によって異なる換算式を用いて、地盤の強度であるN値を推定します。
スクリューウエイト貫入試験からN値への換算式
砂質土:換算N値=2Wsw+0.067Nsw
粘性土:換算N値=3Wsw+0.050Nsw
「Wsw」は荷重(おもりの重量)、「Nsw」は貫入量1m当たりの半回転数を表します。スクリューウエイト貫入試験から算出された換算N値は、標準貫入試験での打撃回数N値に相当する測定値として扱われます。
スクリューウエイト貫入試験を標準貫入試験と比較すると、「安価・短時間・狭い範囲で行える」といったメリットがあります。そのため、戸建住宅などの小規模建築物においては換算N値をもちいることが多いのです。
建築に必要なN値はどのくらい?
建築に際して、どれくらいのN値であれば問題ない地盤と言えるのでしょうか。その基準は土質やロケーションによって異なりますが、弱い地盤は地盤改良工事が必要です。調査結果に特に問題がなければ、N値5以上であれば一般住宅の建築は可能な場合が多いと言えます。ただし、新しい盛土や腐植土などの特殊な土ではN値が大きくても地盤改良工事が必要になる場合があるため注意が必要です。
地盤の強さを表す「長期許容応力度」
地盤の破壊に対する強さを示す数値が「長期許容応力度(qa)」で、単位は「kN/㎡」です。この大きさによって建設省告示により基礎の仕様が規定されており、建築物にとって非常に重要な数値とされています。また、日本建築学会の「小規模建築物基礎設計の手引き」を参考にすると、N値からおおよその長期許容応力度を確認できます。
ただし、N値は主に地盤の強度を示す数値で土質までは分かりません。あくまで判断の目安としましょう。
おわりに
今回は、地盤調査の結果を表すN値や換算N値、そして建物との関係性についてご紹介しました。地盤の強度はN値によって推定できます。地盤調査でN値が基準値を下回っていれば、地盤改良工事などの対策が必要です。また、住宅選びの際に地盤改良工事が必要かどうかは土質によっても変わるため、土質も併せて意識するようにしましょう。地盤の安全性を確認する上で重要な数値となるN値を意識してみると良いかもしれません。