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地盤調査報告書の基礎知識|スクリューウエイト貫入試験とは?
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「地盤調査報告書があっても、専門用語が並んでいてよくわからない。」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は地盤調査の基礎知識から解説した後、木造住宅などの小規模建築物一般的に採用されている「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」の概要と試験方法、地盤調査報告書の見方を紹介します。地盤調査のポイントも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

地盤調査の基礎知識

地盤調査とは?

地盤調査では、地盤の硬軟や盛土・埋戻し土の状況、地層の構成を調べています。一般的には各地層の土のサンプリングまではしません。それでは、スクリューウエイト貫入試験の概要について、以降で見ていきましょう。

スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)とは?

先端にドリル状の部品(スクリューポイント)がついた鉄の棒(ロッド)を地中にねじ込んで地盤の強度を測定します。地質調査というとボーリング調査(標準貫入試験)を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、ボーリング調査には多くの費用がかかります。スクリューウエイト貫入試験は、 地盤調査の方法としては低コストで簡易的な部類に含まれており、戸建住宅の地盤調査で主に使用されています。

 

スクリューウエイト貫入試験といわれる由来は、1917年に北欧スウェーデンの国有鉄道により、路盤調査をするための方法として採用されていたことが始まりです。北欧諸国でさまざまな建築に用いられるようになり、日本では1950年代前半に当時の建設省が堤防の調査へ導入したことがきっかけで普及しました。また、スクリューウエイト貫入試験の頭文字を取り「SWS試験」「SS試験」と呼ばれることもあります。

 

スクリューウエイト貫入試験の方法

建築物が一般的な大きさの場合、地盤調査をする計画建物の四隅と中央の5カ所を調査します。調査では先端にドリル状の部品(スクリューポイント)を取り付けた鉄の棒(ロッド)を地面に垂直に立てます。

垂直に立てた鉄の棒におもりを載せることで、荷重に対する貫入量を測り地盤の強度を算出しているのです。最大荷重は100kgですが、100kgの荷重でも貫入しなければ上部のハンドルを回して、さらにロッドを貫入させ、25cm貫入するまでの半回転数を記録します。

しかし、土を直接採取する作業は行わないため、土質の判定結果はあくまで推定です。また、土質判定に関して貫入時の音や感触などが重要で、判定結果の正確性には技術者の技量や経験が影響します。なお、調査の深さは一般的に地中10m程度までで、敷地内が更地であることが望まれます。建て替えで既存の建造物が残っている場合は、調査機械が搬入できれば調査できます。

 

地盤調査前に確認しておきたいポイント 

スクリューウエイト貫入試験による地盤調査を依頼する前に確認しておきたいポイントが2点あります。

測定結果の見方

① 盛土があるかどうか、ある場合はその厚さ

盛土は新しいほど収縮しやすく、厚いほど収縮量が大きくなります。土の荷重はかなりありますので、家の荷重だけでなく盛土の分も換算しなければなりません。

盛土があるかどうか、いつ盛土をしたのかは売主や不動産業者の担当者に確認しておきましょう。ヒアリングの内容と地盤結果報告書の結果から、盛土が実際にどの程度あるのかを判断できます。

② 地下水位を計測するかどうか

軟弱地盤と判明して地盤改良(補強)工事を行う際、地下水位によって可能な工法が変わってくるため、地下水位の計測も重要です。

また、地震時に液状化現象が起こりやすいかどうかも地下水位が大きく関係します。しかし、SWS試験での地下水位測定は非常に簡易的なものであり、孔壁崩壊により地下水位が不明となる場合もあります。より正確な地下水位を知りたい場合は、地下水位計による計測をお勧めします。

 

 

地盤調査報告書の見方

調査調査報告書に記載される項目とその意味について説明します。

貫入深さ スクリューウエイト貫入試験では、25㎝貫入させるのにハンドルを何回転させたかで、その地盤の強度を測定します。貫入深さは地表面からの深度を表します。
荷重Wsw 5、15、25、50、75、100kgと段階的に荷重をかけてロッドの沈み方を測定します。荷重Wswはかけた荷重を表します。
半回転数Na 重りの荷重だけで沈まない場合、25㎝貫入させるのに必要なロッドの半回転数を調べることで、地盤の固さを測定します。半回転数Naは25cm貫入するのに要した半回転数です。
1mあたりの半回数Nsw 半回転数を1mあたりに置き換えたもの。Nsw=Na×100/L(L=貫入量)で表します。
荷重のグラフ 荷重Wswをグラフ化したもの。どれくらいの荷重でロッドが沈んだかが分かります。荷重グラフの範囲内でグラフが止まっている場合は、比較的弱い地盤であることを意味します。
1mあたりの半回転数のグラフ この範囲までグラフが伸びている場合、100kgの重りでも沈まないことを意味し、地盤にそれなりの強度があることが分かります。
換算N値 換算N値は、N値をスクリューウエイト貫入試験の換算式に当てはめて算出された数値です。N値(標準貫入試験値)は地盤の硬さを表す指標であり、この値が大きいほど地盤が硬く締まっていることを意味します。ボーリング調査でおもりを自由落下させながらロッドにぶつけ、ロッドの先端に取り付けたサンプラーという部品が、地中30cm沈むまでの打撃回数を数えてN値と呼びます。

貫入状態とは?

地盤調査報告書には貫入状態を示す項目があり下記左列のように、ロッド貫入時の音や感触などで表現されます。貫入状態は「記事」と呼ばれるところに記載されています。この情報から地盤の推定土質、貫入時の状態などが分かります。

ストン 早い自沈※次項で説明
スルスル 「ストン」と「ジンワリ」の中間的な速さ
ジンワリ 「スルスル」と「ユックリ」の中間的な速さ
ユックリ ゆっくりと自沈する場合
打撃 荷重と回転を加えても貫入できず、上部より人力で打撃を加えること
貫入不能 打撃などを加えても貫入しない

自沈層とは?

自沈層の有無

自沈層と表現される地盤は、ハンドルを回転させなくても重りを載せたけただけで沈んでいく弱い地盤です。

スクリューウエイト貫入試験では、「荷重+回転数」で地盤の強さを調べます。

半回転数がゼロであれば自沈層と判断され、地盤改良(補強)工事が必要な場合もあります。つまり、自沈層の有無が地盤改良(補強)工事の必要性を判断する1つの基準といえます。 

 

地盤調査の2つのポイント

① 住宅購入前に地盤調査を行う

土地や土地を含む物件の売買契約を締結する前に地盤調査をさせてもらいましょう。ただし、事前の地盤調査には、住宅会社や不動産会社との交渉が必要になります。

事前に地盤調査を行うと購入後のトラブルを防げます。購入後に地盤が軟弱とわかると、地盤改良(補強)工事にに大きな費用がかかり、当初考えていた建築費用が予算オーバーになってしまいます。事前にその地盤が軟弱だとわかっていれば、地盤改良(補強)工事の費用も予算に組み込んで考えることが可能です。

このようにメリットの多い事前調査ですが、交渉をしてみると難色を示されることが少なくありません。事前の地盤調査を認めてもらうための交渉術としては、購入条件として「地盤調査の結果を踏まえて」と提示する方法がおすすめです。

もし住宅会社や不動産会社があまりにも事前調査を嫌がるようであれば、その土地の地盤は何か問題があるかもしれません。そのような場合は、そもそも売買契約を締結すること自体、再考する必要が生じてきます。

 

② 地盤調査報告書のデータだけで判断しない 

データだけで判断しない

地盤の強さは、地盤調査のデータだけではわかりません。造成状況や周辺環境、地形や土質などさまざまな角度から地盤を調べ、それらも判断材料とする必要があります。

そのための資料収集や現地調査を行い、調査データを裏付けることで精度の高い地盤の解析が可能になるのです。

スクリューウエイト貫入試験では地層ごとの試料をサンプリングするわけではないため、調査データを見ていて特定部分の土質が気になるようなら補足試験を検討する場合もあるでしょう。地盤調査報告書を補足する情報を集めて精査し、地盤のより正確な把握に努めましょう。

 

おわりに

地盤調査報告書の見方について解説しました。戸建住宅で一般的に採用されているスクリューウエイト貫入試験は、低コストで地盤調査を行うことができる試験方法です。地盤調査報告書にまとめられた内容は、どれもその土地の地盤を判定するために重要な情報ですので、しっかり確認するようにしましょう。

地盤調査は、土地や土地付きの住宅を購入する前に、調査をするよう住宅会社や不動産会社と交渉することも重要です。事前調査で地盤の状態を把握すれば、住宅建築にかかる費用をより正確に見積もることができると同時に、そもそもその土地を購入するかどうかを検討する材料にもなります。

調査の結果、自沈層があるかが地盤改良(補強)工事をするかの一つの判断基準になります。ただし、スクリューウエイト貫入試験では土のサンプリングをしないため、気になる地層があれば、補足試験が必要になる場合もあるでしょう。地盤調査報告書の内容を裏付けるようなその土地の地形図・自治体で公開されている土地情報などの調査も怠らずに進めることで、より正確に地盤の状態が把握できます。

地盤調査を有効活用して、安心して暮らせる家を目指しましょう。

▶地盤調査についてはこちらから

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