マイホームを購入しようと思っている場合、住宅購入予定の地域の雰囲気なども重要ですが、地盤について大きな関心を抱いている方は多いです。日本は、地震大国と呼ばれるほど地震が多く、地盤が弱い場所に家を建ててしまうと、地震によって倒壊などが引き起こされる恐れがあるでしょう。土質の種類により地盤に不安がある場合に、地盤改良工事を行うことが多いですが、いったいどのようなものでしょうか?安心な住まいとするための地盤改良工事の種類や押さえておくべきポイントなどについて、詳しく解説していきます。
地盤改良工事の主な種類
一言で地盤改良工事といっても、いくつかの種類があります。主な地盤改良工事について、簡単にご紹介します。
●表層改良工法
表層改良工法はセメントと現地の土を使って表層付近の軟弱部分を締め固めて、その上に基礎を作る工法です。軟弱地盤が浅い場合に適している工法です。おおむねの目安として、地面から2メートル程度までの地盤強度を向上させることが可能です。地盤改良深度によっては、比較的コストを抑えて安価に工事ができるというメリットがありますが、施工者の技術力が足りないと、荷重による不同沈下などの住宅事故を引き起こす原因となってしまう可能性もあります。
●柱状改良工法
表層改良工法では対応できない深い深度にも対応できる工法です。支持層が深い場所にあるときに使われることが多く、セメントと土を混ぜた円柱状の補強体で地盤改良を行います。軟弱地盤が2~8メートルの場合にこの工法が用いられることが多いです。 地盤の中に、硬い土の柱ができるイメージなので改良工事後は長期間地盤強度を維持できるという点がメリットです。ただし、地盤内部の原状復帰が困難であり、土地を売買する際に問題となるケースがあります。
●鋼管杭工法
支持層がさらに深い場所にある場合に用いられる工法です。鋼管杭を強固な支持地盤まで貫入させて地盤改良を行う工法であり、地表から深度30メートルまでの地盤強度を高めることが可能です。この工法を用いるためには、支持地盤が必要不可欠となります。支持地盤がないと施工ができないので、事前に支持層深度の確認をする必要があります。工期が短いというメリットがありますが、資材が他工法と比べると高価のために工事費用がかさんでしまうというデメリットがあります。
地盤改良工事について覚えておきたいポイント
地盤改良工事を行う際には、土地に合わせて適切な工事を行う必要があります。お金をかければかけるほど安全な地盤ができるというわけではありません。無理に工事を行うことで、地盤改良で行ったセメントや鋼管杭などが残っていると産業廃棄物扱いとなってしまいます。土地の売却時に改良体が地面の中に残っていると、次の地盤改良を行う際に掘削できないため、撤去工事が必要となります。
一般的には、売り主負担で処分しなければならなくなってしまいますので、注意が必要です。また、セメント系固化材を使用すると、六価クロムという物質が発生する恐れがあります。六価クロムとは発がん性物質であり、皮膚や粘膜などに付着した状態で放置してしまうと、皮膚炎や腫瘍の原因になるとされています。しかし、六価クロム溶出低減型のセメントを使用すれば、六価クロムの発生を防ぐことができます。心配される方は地盤改良をする前に、どのぐらい六価クロムが溶出するのか調べる試験で確認することをお勧めします。
また、地盤改良工事で土地にあった適切な工法を選択しないと、せっかく改良工事をしたのに、不同沈下などが発生したりしてしまうケースもあるでしょう。そもそも、地盤改良工事をしようにも検討が必要となるケースも。どんな時に検討が必要になるのか例を挙げると、次のようなものがあります。
・前面道路と宅盤に高低差がある。
・電線にあたる。
・搬入路が狭い
・地盤にゴミや石、廃材が詰まっている
このように、改良工事を行ううえで検討が必要な土地があります。そのため、建設地において適切な地盤調査を行い、同時にどんな地盤改良工事が行えるのか、何に注意が必要なのかを確認することが重要なのです。
●地盤改良工事の実績が豊富な業者に依頼する
地盤改良工事を行う際には、豊富な実績を有する会社に依頼するほうがよいでしょう。一般的に、地盤改良工事はハウスメーカーが指定した業者が行うことがほとんどですが、依頼したい会社を自分で見つけてお願いすることも可能です。
施工方法や改良範囲や改良深度によって、地盤改良工事といってもコストは大きく変わってきます。最終的な品質を重視したい場合は、依頼する前にいくつかの施工会社に相談をするのも一つの方法でしょう。自分が信頼できると思えるような会社を見つけて、地盤改良工事を依頼することも重要なポイントです。
ジャパンホームシールドの構造設計サポート
建物の構造計算や設計、地盤改良工事などを個別に依頼することも可能ですが、一つの会社に一括して依頼することができる場合もあります。たとえば、ジャパンホームシールド株式会社が提供している事業支援サービスの中には、「構造設計サポート」というサービスです。一つの会社が建物の構造計算から基礎設計、地盤・改良工事の設計を行うことで、無駄のない適切な地盤改良工事をしてもらうことができるでしょう。
また、実際にジャパンホームシールド株式会社に構造計算をして作成した設計図面通りに建築が施工されているのか、現場でのチェックを行ってもらうことも可能です。この構造現場検査は、施主向け構造チェック報告書として明確に報告してもらえます。ただし、ジャパンホームシールドの構造設計サポートは、事業者様向けサービスとなりますので、対応してもらいたい場合は、戸建の売買契約をするハウスメーカーなどに相談をする必要があるでしょう。
土地にあった地盤改良工事を依頼しよう
マイホームを購入しようとする場合、建築予定の土地の地盤が軟弱である場合、地盤改良工事が必要となります。地盤改良工事にはいくつかの種類があるため、しっかりと地質調査などを行ったうえで、地盤に合った適切な地盤改良工事をしないと、トラブルの原因となる恐れがあるでしょう。地盤改良工事を依頼する場合は、経験豊富な施工会社の中から、自分が信頼できると感じられる業者に依頼する必要がありますので、しっかりと見極めるようにしましょう。